ネットのちから・英語のちから

お久しぶりです。一ヶ月ぶりの更新です。

きょうは台風到来のためレッスンが休講となり、時間ができました。

(お写真は、内容とは関係ありません^^;) 

 

いま、スコットランドの少女(9歳)のブログが、わずか2か月で600万回のアクセスを誇るほど評判になっているのをご存じでしょうか。(いまも猛烈な勢いでカウンターが更新されています)

 

ハンドルネームVeg (本名Martha)ちゃんは、できるだけ毎日の学校給食の写真をとって公開し、その満足度・栄養価・分量・価格(髪の毛の混入のあるなしまで!)などを評価していました。

 

Vegちゃんがなぜこうしたブログを始めることにしたのかは、そのサイトをご覧ていただけば、なんとなくお判りいただけるのではないでしょうか。基本的に、日本のお母さんたちが作るような手の込んだお弁当とは大違いなのです。こうした傾向はスコットランドに限らず、アメリカでもドイツでもあまり変わりはありません。ジャムやピーナツバターを塗っただけのサンドと、リンゴ1コや人参が一本まるまる放り込んであるだけのランチボックスを、わたし自身、何度も見てきました。雑穀の練り込んであるパンにチーズとハムが挟んであるサンドを食すドイツ人の方が栄養バランスははるかにマシ……ぐらいなものです。


おそらくは、Vegちゃん、こうした食事では満足できないという思いがあってこのブログを始めたのではないでしょうか。しかしながらVeg ちゃん自身、たっぷりとアイシングのかかったカップケーキを好みますし、自分で「わたしは完璧じゃないの」と一言添えるような子どもらしさも覗かせています。

いずれにしても、彼女の母語が英語であったことや、しっかりした文章が書けること、また、かわいらしい性格の故もあったでしょうが、ネットならではの拡散力も手伝って、このブログは大手メディアやプロ料理人の目にも留まり、一気に大ブレイクしました。

 

アクセス数が急増するにつれて、給食の内容はすこしずつ改善されていきます。皆さまの目にも、その刻々とした変化は見て取れることだと思います。

 

自分のブログに寄せられる反響の大きさから、Veg ちゃんはブログ発信の趣意をすこし変え、貧しい国の子どもたちに学校給食を提供するチャリティ団体 "Mary's Meal" への募金を呼びかけることにします。後には、その報告も載せるようになりました。


そんな折りに、Vegちゃんのブログは一時、行政からその継続を禁じられその存続が危ぶまれたことがありました(6/14)。しかし、これをメディアが報じたり、Twitter でトレンドとなったことから、行政にむけて世界中のファンが反対メールを送りつける事態となり、一転してVeg ちゃんブログ御法度は撤回されて(6/15)、再開されることとなりました。

いまではVeg ちゃんの呼びかけに応じて世界各地から送られてきた、ブログ読者のお弁当や給食の写真も、同ブログでいっしょに紹介されています。日本の給食やお弁当の写真もあります。
(※以上、時系列では書いておりません)

いかがですか。給食の写真は初期のものと最新のものとを比べてみると一目瞭然ですよね。量といい、栄養素・彩りといい、どんどん良くなっています。いまではシェフと一緒に給食のメニューを検討しているというニュースもありました。

ネット情報は、やはり英語が主力です。
英語は、情報拡散のスピードや勢いが他のどんな言語とも違います。
やろうとしてねらえるものではないかもしれませんが、
こうした変革は、「ネット×英語」の組み合わせがなければ、起きえない現象だったのでは……と思います。
こうした動きを見ていると、難解な主張なんて必要ないんですね。
真摯な着眼点と、一貫した発信力が大事なんだ、と思わされます。
9歳児に、いろんなことを学びました。
そして、英語を学んでいるみんなにも、こうした発信力の可能性はあるということです。
がんばれ・みんな。

関連記事
追記
関連記事を読んでいると、ブログだけでは掴みきれなかった背景が見えてきます。人々の関心を呼んだのは、食欲の湧きそうにない給食の写真だったこと、Veg ちゃんのお父上も、給食が、ガイドラインを満たしているとはいえその実情にはショックを受けて改善を望んでおられこと、著名な料理人たちが改善をもとめて進言してもなかなか実益には結びつかなかったこと、改善前のような給食では卒業時に糖尿病を罹患していてもおかしくなかったことなどが、NYT で報じられています。
追記
Veg ちゃんに協力的であった料理人Jamie Oliver さん、かのTEDで、学校給食問題についてプレゼンしておられたんですね!